いまさら とぷかぷ

将来を妄想したりしていたら一か月前くらいに今の研究室の同僚と行った展覧会を思い出した。一か月前ほどに京都文化博物館(だったけ?)で行われていたトプカプ宮殿の至宝とかいう展覧会の無料チケットをもらったので行った。トルコ16世紀くらいのお話で、トルコが繁栄した時代、ハーレム文化が成熟した頃で、コーヒーを飲む文化とか着飾るとか、文化が成熟して飽和したころに産まれる文化のお宝展であった。

贅の限りをつくした文化、余裕が感じられるものを発見した。
というのは、ハーレムの女たちはそれぞれ役割を与えられていてそれぞれ、着物係、寝室係など普段の身の周りの世話的な役職。しかしこの中のジェネラルな職に、“シャーベット係”という役職が存在するのを発見して一気に目が覚めたのだ。
シャーベットに特化しているのだ。そして展示されているお宝の中にはシャーベットのための特別な装飾が施されている銀細工の匙やシャーベットマシンなどがあった。いろいろなバリエーションがあるらしく、サルタンの好みやシャーベット係のセンスに依存しているのだろう。

この係りは“シャーベット”に命を賭けていたに違いない。でなければ解雇で奴隷以下の扱いにされてしまうだろうから。シャーベットの材料や溶け具合、サルタン(君主)の元へ持っていくタイミング、サルタンの体調やまた、天候(特に温度湿度など)などなど。。。

話を戻すと私の将来の職業について妄想していたのだが。
私はこのシャーベット係という存在を知ったときに、“なんて単純で楽な仕事であることか”と思い、私もこんな職業があるならば就いてみたいと一瞬考えた。が、今になって思うとこの単純作業のなかにいかに細部にこだわるかやオリジナリティを出してサルタンに気に入られるかや、ある程度のプロフェッショナルになることを考えると、今私が自分の仕事において成熟させなければならない項目と同じであるということに気がついた。

シャーベット係は研究業界には存在しないけれども、昔々トプカプ宮殿でシャーベット係が与えられた仕事のなかで如何に自分の存在感を表現したかやオリジナリティを追及したかを妄想しつつ、私もがんばろうとなぜか今日かんがえたのでした。