指導教官を午前中に説教して、午後から忙しくチューリッヒセミナーに参加する。おかげでパスポートと、電車のチケットが50%オフになるBahn Cardというものを忘れる。スイス入国は一応パスポートチェックが電車の中で行われる。行きはチェックが入らなかったけど、帰りはしっかりと国境警察が現れた。身分証明書なるものは自動車の免許証しかもっていなかった。眉間に皺を寄せた女警察にいろいろとドイツ語で言われ、半分程度しか理解できなかったけど、ETHの紙袋を持っていたのであまり不振には思われなかった(!?)のか、30ユーロとか払わなくてもパスできた。

セミナーはユトレヒト大のThomas Roeckmanの例のNatureネタ葉内のメタン生産について。彼はこの論文出版以来、いろんなところからこの論文についてバッシングを受けたらしくてお疲れのようだった。メディアが大げさに騒ぐし、植物生理屋はいい顔しないし、化学者にはいろんなプロセスを無視しすぎていると言われ…。
彼はでもかなり真摯にいろんなことを受け止めて、Underlying mechanism を探ろうとしているということだった。彼の態度には共感できるものがある。

セミナーはロジカルに組み立てられていて分かりやすかった。あのNature論文で読み落としていたお話や、背景のお話も聞けた。質疑応答では質問者たちもあまりこの結果を肯定に受け止めていない人が多数だったけれども、いろんなアイディアをもらいたいというThomasRoeckmanの真摯な態度のおかげで議論はけんか腰にはならず、きちんと対話が成立していた。

Nature論文で彼らがメタンフラックス推定する際に使ったパラメータの一つがNPPであったことを今日知った。葉っぱでの実験なのに…。LAIのほうが、これもどんぶり勘定ではあるけれども、まだ少しは信頼度が上がるかも。

でも、この葉内メタン排出量、温度依存性がありすぎで、60度でも飽和していない。どこで飽和するのか知りたい。
あとは、基質とガスの分別も小さいなぁ。
あと一人の質問者が助言していた、NADPHがアタックするCH3基の水素同位体を測定してみよ、というアイディアには共感できた。

メタンフラックスはまだまだ大枠の概念さえあやういのではないか、と感じた。
あとは、本当にコラボレーションとか専門家の歩み寄りって大切だ。馬鹿にしあってるだけじゃぁ、それはお互いにマイナス効果になるばかり。